リニア影響で7都県がJR東海に注文、環境保護や工法変更も (カナロコ by 神奈川新聞) - Yahoo!ニュース


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リニア影響で7都県がJR東海に注文、環境保護や工法変更も

カナロコ by 神奈川新聞 3月26日(水)8時15分配信

 リニア中央新幹線の東京・品川−名古屋間の2027年開業に向け、JR東海が示した環境影響評価(アセスメント)準備書に対し、沿線7都県は25日までに意見書を同社に提出した。各知事からは工事に伴う環境保護や情報提供を求める声があったほか、工法変更などの注文も相次いだ。

 JR東海は、各意見を反映させた環境影響評価書を国に提出。その後、工事実施計画を今夏までに認可申請し、今秋にも着工することを目指している。ただ、国の認可時期や沿線自治体との調整にも左右され、着工がずれ込む可能性もある。

 東京都は意見書で、振動や騒音の発生源と、学校や病院などの位置関係が具体的に示されていない点を批判。神奈川県も土壌汚染があった場合の周辺対策を示すよう求めた。

 山梨県は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認定する「ユネスコエコパーク」の登録構想に絡み協議を求めた。トンネル掘削のため地下へ斜めに掘った坑道が11カ所設置される長野県は、沿線都県で坑道が最も多いとして削減を要請した。

 岐阜県は重要な遺跡の有無を確認することを要望。JR東海の山田佳臣社長は25日、古田肇知事と会い「誠実に対応し、足りないものは補充していく」と応じた。

 静岡県はトンネル建設で発生する湧き水を、工事に伴って水量が減るとされている大井川に戻すことや、残土の発生を減らすことなどを求めている。愛知県は名古屋城付近の埋蔵文化財への影響を緩和するよう主張した。

 太田昭宏国土交通相は25日の記者会見で、知事らの批判が相次いでいることについて「意見も踏まえて(JR東海が)修正を図ると思う。そこを十分見ていきたい」と自治体の声の反映を注視する考えを示した。

◆「住民理解へ努力を」県知事、17項目50件指摘

 黒岩祐治知事は25日、リニア中央新幹線の県内工事をめぐり、発生土処理計画の不備や地下水への影響など17項目計50件を指摘し、環境負荷の低減を求める意見書をJR東海の金子慎副社長に提出した。同社が昨年公表した環境影響評価(アセスメント)準備書に対する意見で、県環境影響評価審査会の答申や相模原、川崎など沿線4市町の意見を踏まえてまとめた。

 知事意見の総括では、JR東海が今後作成する環境影響評価書について「より環境に配慮した事業にしていく制度であることを認識した上で、本意見を十分勘案し住民の理解が得られるよう最大限努力することを求める」と強調した。

 具体的計画が示されていない建設発生土の処分については、環境保全措置の内容などを住民に十分説明するよう指摘。トンネル工事に伴う地下水位への影響調査に関しては、広域だけでなく局地的にも実施するよう求めた。

 県庁で金子副社長に意見書を手渡した黒岩知事は、資料不足で予測と評価が十分検討された内容になっていないと厳しく指摘した審査会の答申を踏まえ、「今のままではとても住民の理解は得られない。しっかりとした次の答えが出てくると期待している」と述べ、評価書で指摘事項を反映するよう求めた。

 金子副社長は「知事意見を真摯(しんし)に受け止めきちんと対応し、次のステップに進んでいきたい」と述べた。