奇跡というのは少しオーバーかとは思いますが(多分出版社の命名)、論理的に書かれた良書。
学生時代から漢方に興味を持ち、西洋医学との併用による漢方治療のエキスパートとして
がん研病院で仕事をされている。

小林秀雄が講演の中で漢方の事を語っている。
ニンジン(確か朝鮮ニンジン)は便秘にも下痢にも効果を現わすと。
まさに西洋医学に基づく薬剤と異なる漢方の効用であり、免疫(自然治癒力)との関係性であろう。

痛みや頻尿、味覚の消失等に対する漢方や温熱療法の効果は非常に興味ある。

好感が持てるのは、分からない事は分からないと記述し、今後の解析が待たれるとする態度でしょう。
科学、西洋医学、漢方、どれも万能ではないことを理解してより良い治療を患者のために考える。
そして宗教的な行為の大切さも指摘する。これは薬による治療、個人の精神的(スピリチュアル)な賦活を意味
するのだろう。
そして家族や友人のサポート。

多くの場合が化学療法の後の漢方治療であるので、漢方単独や漢方治療のあとの化学療法のデータは無い。
そこが今後の課題かもしれない。

著者は学生時代、宇井純さんの講義も受けていたと書いている。また薬害被害者支援に関与する講師の方の授業も受けていたと。市民目線な方だと思う。

カイジ顆粒や他の興味ある漢方薬が沢山登場する。