<1>最速505キロ広がる未来 東京までわずか25分 : 発進 リニア社会 : 企画・連載 : 山梨 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

広告主の意向ですか?
1980年代、90年代のリニア本の内容をそのまま貼りつけですかね。
通勤リニア?
リニアタウンはゴーストタウンと予測しておきます。

以下記事
<1>最速505キロ広がる未来 東京までわずか25分


中間駅近く 分譲も好調/203X年 とある一家の生活は…

 「今から13年後、どんな街になっているんだろうね」

 県内のリニア中間駅(甲府市大津町付近)の建設予定地から車で5分ほどの甲府市上今井町。東京ドームより一回り広い約5万2000平方メートルの分譲地「あさひリニアタウン」で2013年12月、甲府市の会社員植杉学さん(34)、真理さん(37)夫妻は、完成した新居と、建築が進む周囲を見渡しながら語り合った。

 分譲地は、壁紙工場の跡地。県内の不動産会社でつくる県不動産業協同組合が12年、県内の住宅メーカーなど20社余りに声を掛け、共同分譲に乗り出した。街の名前は、リニア時代の幕開けを願って付けられた。171区画は13年7月から売り出され、現在、更地で分譲できるのは残り25区間(13年12月19日現在)で、順調に売れているという。

 学さんは東京出身で、2年ほど前に転職で山梨へ。結婚を機に新居を探していた。「将来、1時間かからず東京と行き来できる点が魅力。友達も呼びやすくなる」とリニアに期待を寄せる。自然が近くにある山梨で子育てしながら、気軽に東京にも出掛けられる。子どもには音楽ライブなど都会の文化にも触れさせたいと思っている。真理さんも将来の夢に胸を膨らませる。

 「全国各地や海外にも行きやすい。家族で旅行するのが楽しみ」


BRTを生かした荒川セントラルパーク構想のイメージ図=2040プロジェクト実行委員会提供

 リニア中間駅と甲府市中心街の間に一般道とは分離した専用道路を設け、バスを走らせる「バス高速輸送システム」(BRT)を新しい甲府の都市軸に――。

 こんな構想を提言しているのは、県内の建築設計4団体の有志「2040プロジェクト実行委員会」だ。

 同会は13年4月、甲府市でシンポジウムを開き、BRTのルート周辺に公園などを整備する「荒川セントラルパーク構想」を発表。市内を流れる荒川の緑化を進め、カフェやイベントスペースを用意し、にぎわいの創出を図るとしている。

 リーダーの進藤哲雄さん(65)らは同年11月、スペイン・マドリードを視察し、先月、北杜市で成果を報告した。マドリードでは3年前、河川沿いの約10キロにわたり遊歩道などを整備する再開発事業が完了し、市民の憩いの場としてにぎわっていたという。進藤さんは「甲府でもやる価値はある。中心街と中間駅の交流を促し、街を活性化させたい」と話す。


あさひリニアタウンに新居が完成した植杉さん夫妻。「リニアが開通したら、東京から友達を呼んだり、子どもと都心にでかけたりしたい」(2013年12月21日、甲府市で)

 「東京と25分で結ばれる山梨に21世紀の田園都市を作りたい」。笛吹市のソフトウエア会社社長、広瀬光男さん(61)は13年10月、リニア中間駅南側の曽根丘陵に東京からオフィスや通勤者を集めた新たな街を作ろうと、「百年まちづくりの会」を設立した。

 広瀬さんは元県職員。バブル期に現在の甲斐市に情報通信系専門学校を開設し、その周辺に関連企業を誘致した実績がある。「当時は、コンピューター社会の到来を全面に打ち出した。今、誇るべきはスローライフと自然の豊かさだ」と広瀬さん。まず水資源と景観を守る里山作りのため、14年の春から地元の有志とモミジの植林に乗り出す。

 県内人口は2040年までに20万人減ると見込まれており、リニアを使って県外から20万人呼び込むことが目標だ。「過密な東京と田園の山梨がリニアで結ばれることで、両者にとってウインウインの関係を作り出したい」

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 203X年、私、甲斐直行(55)を乗せたリニア中央新幹線は東京に向け、山梨を出発した。滑らかに加速し、3分ほどで車内モニターの表示は時速505キロに。毎日乗っていても、このスムーズな加速には感心する。1列4席のシートに座ってうとうとしていると、数年前の妻怜子(54)の言葉を思い出した。

 お義母さんが倒れた――。当時は東京で会社勤め。妻から、山梨で一人暮らしをしていた母が病院に搬送されたとの一報が入った。幸い大事に至らなかったが、会社を辞めて故郷に帰るしかないか……。そんな私に妻が「一緒に山梨に住んで、リニアで通ったら」。そうか、その手があったか!
イラスト 望月まろん

 リニア開業後、「山梨都民」が増えたと聞いていた。一緒に山梨に来てくれた妻と娘の梨奈(21)に感謝しながら、きょうも都内までの110キロを往復する。



 「今日はどの国の人に出会えるかしら」。私、怜子は新生活が一段落すると、得意の語学を生かした外国人観光客のボランティアガイドを始めた。

 羽田空港から甲府まで、リニアを使って品川経由で1時間。だから甲府が富士山の玄関口になりつつあるの。リニアに乗るために来る外国人も珍しくないわ。

 この前は義母が東京で精密検査を受けるため、初めてリニアを利用した。東京が本当に近くなったと感じるし、色々な使い方ができるなって思う。



 「梨奈は東京と山梨のどっちで就職するの」。私、梨奈は一緒に“リニツー”(リニア通学)している親友にこう聞かれた。山梨出身の彼女は地元で就職したいみたい。
イラスト 望月まろん

 引っ越してきた時は東京に帰りたいと思っていたんだ。だから「東京のいい大学に入ってやる」と思って猛勉強。本当は下宿に憧れてたけど、お父さんもリニツーしてるしなあ。

 山梨って、都心まで1時間ぐらいだから、今では横浜や埼玉と、あんまり変わらないよね。よく友達と県内でキャンプや登山してるから、今では結構、山梨のこと好きかも。

 だから親友には、こう答えたの。「山梨と東京の両方で就活できてラッキーだよね。都会も田舎も両方、楽しむじゃんね」



 県が2013年3月に策定した「リニア活用基本構想」などを基に、リニア開業後のある家族の生活をシミュレーションした。

◇   ◆   ◇   ◆   ◇

 東京と名古屋を40分で結ぶリニア中央新幹線。仕組みや課題などをQ・A方式で説明する。

 Qリニアとは。

 A電車でいう車輪とレールではなく、車両は磁力で浮上、推進する。世界初の超電導磁気浮上方式を採用することで時速505キロの高速走行が可能になった。東京・名古屋間は2027年、名古屋―大阪間は45年に開業予定。

 Q山梨県のルートや料金は。

 A現在、走行試験が行われている山梨リニア実験線(上野原市―笛吹市)がそのまま本線となり、実験線以西は甲府盆地を通り、早川町からトンネルで南アルプスを貫通する。県内の中間駅は1か所で、甲府市大津町付近に建設予定。

 県は、東京・品川〜甲府は25分で結ばれ、料金は4500円程度と想定。中間駅は35年時点で1日1万2300人が利用、開業に伴い1万4600人が移住すると予測している。

 Q懸念材料は。

 A騒音や磁界について、住民から不安の声が上がっている。騒音は現行の新幹線と同じ騒音基準が適用され、住宅地などでは70デシベル以下となるよう、ルートにはコンクリート製の防音フードなどが設置される。ただし、景観を阻害するほか、外から走行シーンを、中からは車窓を見ることは難しくなると不満の声もある。

 磁界は世界保健機関の見解が適用され、JR東海は問題はないとする。測定結果は公表されているが、沿線住民の間には長期的な健康への影響を心配する声が根強い。また、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の「エコパーク」(生物圏保存地域)の登録を目指す南アルプスでは、貴重な自然との両立や、トンネル掘削で出る大量の残土の処理が課題となっている。
(2014年1月1日 読売新聞)