本が好き!献本御礼
原題は:私の取り分、英訳での原題は運命の書(The Book of Fate)

フランスの歴史人口学者のエマニュエル・トッドが女性識字率、乳児死亡率、出生率、家族の形態等を指標にして歴史を解析している。そしてソ連の崩壊を予言し、次はアメリカ帝国の崩壊ではと。
女性識字率の向上は出生率を下げる事はもはや常識になっているし、宗教が戦争の対立軸ではないことも(一部の国は敢えて宗教とテロを結びつけようとするが)。

700ページ近くに及ぶ本書はイランで生きた女性を主人公にしてまさに時代と文化・風習あるいは伝統に翻弄された一人の人間の歴史なのだろう。

一人の少女として、女性として、母親して、主婦として、事務員として、大学生として、囚人の妻として、処刑された反政府共産主義者の妻として生きた主人公。

男女不平等という社会、神の存在、革命による正義の逆転。
家族内ですら男女の扱いが異なる社会規範。

読んでいてふと気が付いた、ある意味、少し前の日本の姿も同じではなかった、そして今も存在する男女不平等。雇用形態、労働条件、給与格差等々。

利己と利他、世間体を気にして利己に走る人間の姿が本書の中では繰り返し描かれている。

ネタばれになるので結末の印象は書かないでおきたい。

家族とは、そして幸せとは何か。
それは決して神が決める事では無いように思う。