再掲

リニア新時代―今世紀最後の大型プロジェクト・リニア構想 1997

前著からのコピペが酷すぎる一冊

リニア中央新幹線 白澤昭雄(1932-) 教育社 1989 に最新情報を加えた改定版であり、朝日新聞の阿部氏(1942-)との共著(3章執筆、6章を共同)としたとまえがきで書かれています。読み比べると分かりますが、非常にJR東海贔屓で新しいデータは提示されず、人口動態や経済見通しに触れず、ジャーナリストが書いた文章としてはお粗末。
相変わらず経済効果10兆円(その後の解析はしていない?)

果たして1989年から約10年経ってリニアがどうなっているのでしょう、1997年時点では?

推薦の辞、これまた89年の本と同じく石原慎太郎氏 残念ながら2000年までにという目論見は叶いませんでした。推薦の辞では21世紀初頭までに必ず実現とあります。その部分以外は同じ文章です。(笑) 本当に石原氏が寄稿したのか??

内容も前著同様にJR東海や鉄道総研からの受け売りである。また内容のアップデートはそれほど無い。地下高騰は1989年のデータのままで97年現在には触れていない。

電磁波問題(200ガウス)はこの時点でも解決していない。宮崎実験線での担当者の話として。山梨実験線は1996-2011の実験期間だが、この時点で何ら結果は本書に出てこない。

1990年度の政府予算案総事業費3300億(JR東海負担役2000億、500億国庫補助、自治体、JR各社)

リニア保有機構(建設を第3セクターで行う場合)、リース料年間4170億や設備更新費をJR東海がすることになる。
JR3社の考え方相違、JR東日本(新実験線(山梨)は公費で、5000億かかる可能性)、JR西日本(必要性は認めるが余裕がない)ともの消極的
葛西常務(当時社長)の平成元年のリニア建設の目的が平成9年にどうなっているか触れず(新幹線の輸送量増加、新幹線設備の老化、性能の限界)
JTEC(日本輸送エンジニアリング)は三菱系の企業が多い(経済効果調査は三菱総研)
ゆとり社会(労働時間短縮)、リニア通勤、レジャーの多様化だそうです。2010年に東京にすむSEのA君(30歳)はリニアに乗って兵庫県の芦屋にクルージングに出かけるのだそうだ(リゾート法によりレジャー施設が多数出来るのだそうだ)
リニアの走る21世紀には、わが国古来の美徳である「子孫に美田を残さず」の風潮が復活するだろう。かなりの高齢者が資産を子供のためでなく、自分達の人生80年代に使うと予想される。のだそうだ。(そうなってます?2013年?)

前著で40歳の大学講師のAさん(山梨在住)は、本書では47歳でありリニア通勤で同じ生活をしております(笑) まったく同じ文章です。歳だけ違う。

HSSTの大船―ドリームランドも実現してませんし、西ドイツのトランスピッドも断念してしまいましたね。

第1章 “翔ぶ鉄道”リニアの実用化テスト
第2章 リニア新幹線構想の全体像
第3章 動き出した官民大型プロジェクト
第4章 リニアで機能分散は可能か
第5章 超電導革命を起こす「中央リニア」
第6章 ライフスタイルとリニア通勤
第7章 日本とドイツのリニア開発状況