図書館本

ホームレス問題、非正規雇用問題、ネットカフェ難民問題等、湯浅さんの社会活動の背景や問題意識が分かる一冊。決して自論をまくし立てる訳でなく常に弱者を優しく包み込むような態度なのである。また内閣府参与としての経験から政策に係る利害関係調整も難しさも吐露している。
本書のタイトルが示すように、他人任せで英雄期待論では社会は変わらない事をとつとつと綴っている。宮台真司氏が言うように、任せてぶ〜垂れる社会から、引き受けて考える社会へ個人が変わっていかなければ、歴史は繰り返すのだろう。

備忘録的メモ
事実の直視が一番難しい、背負いきれないと感じれば、掘り起こさずにそっと眠らせておきたい。それによって平穏な日常が守られているのだから。
討論番組で直面した「ガラパゴス(タコつぼ)化」と外界世界との非共有
調整責任のコスト負担の視点。
一人ひとりを大切にというのは結局のところは「既得権益を大切に」と聞こえる
生活保護さえ国会で既得権益と言われる時代
ガラガラポン欲求=待てない消費者心理  強いリーダーシップ要求
社会全体の排除圧力が加速
デモをすることで社会は変わる。デモすることが出来る社会を作ることが出来る(柄谷行人)
待ったなしの課題が山積み、水戸黄門探し、青い鳥探し。
民主主義:その深まり具合は、時間と空間をそのためにどのくらい確保できるか、という極めて即物的なことに比例するのではないか。
レッテル貼り、その後の思考停止
自己責任と社会責任 社会責任を少し多めに見積もるくらいがちょうど良い
「学者の社会的責任って何なんだ」違法性を指摘する責任、記者会見の開き方を知っている学者がどのくらいいるのか?
言い放つだけでは、現状は変わらない。
居場所作り(震災での復興支援、中高年)、「あなたの力が必要です」と投げかける。足湯の効用(話を聞く、聞き出す、相談にのる)つぶやき拾い。
社縁(会社の縁)中心社会。男性は社縁、血縁、地縁の三つの縁
人と人との関係の結びなおし
支え手、支えられ手が分からないような地域・社会=おたがいさま、の社会形成

ヒーローを待っていても世界は変わらない
ヒーローを待っていても世界は変わらない [単行本]