確か山梨県の県有林はFSC認証だと思ったのですが、、、

あえてリンクしません。すでにブログ主さんは転職されているようですが。

以下転載

富士山の山麓での作業の様子。素材生産のために木を伐る、すなわち伐った木を搬出して市場に出して、人々の暮らしに役立てる、そういう仕事を和歌山では主にやっていたのだけど、山梨に来てから久々だったので、ちょっと嬉しくて、書いてしまった記事。

殺生が嬉しいなんて業が深いと思わなくはないが、嬉しいというのは正直なところ。

しかし。実はこの作業は「素材生産」ではなかった。間伐材の搬出。間伐材でも素材(=原木)は素材だろ? と思われるかもしれないし、外形的には同じなんだけれど、違う。この違いは、樵/林業労務者のような主観的な違いとも違っていて、役所的な違いになる。

役所的な違いは、結果の違いとして現れる。「素材生産」ならば、

 ・原木を生産するために木を伐る ⇒ 伐った木は全て搬出

になるが、「間伐材搬出」だと

 ・もともと切り捨てる為に伐った木を搬出する ⇒ 伐った木は全て搬出しなくてよい

という「論理」になる。だから実際、かなり大量の木材を搬出せずに山へ放置してきた。

実は、『ただいま作業中』の記事を書いたとき、私は自分のやっている作業が「間伐」だとは知らなかった。素材生産だと思っていて、だから久々にそれがやれて嬉しくて、あんな記事を書いた。この作業が役所から受注した事業であることは知っていたし、役所から定められた数量を搬出しなければならないとも承知していた。だが、素材生産だと思っていたので、搬出する数量だけ伐ると思っていた。

ところが実際には、伐った木を全て搬出することはしなかった。定められた数量に達した時点で棄てた。その理屈が「間伐材搬出」だったのである。


この画像にある、伐り開けてしまった森の間隔。15mある。この写真を撮った場所は搬出したので木は残っていないけれど、別の場所では、この状態のまま放置した。これは役所的には「間伐」であっても、樵としてはみれば森林破壊以外のなにものでもない。いや、樵としてではなくても、一般的市民感覚からみても、そうだ。けれど、林業労務者という「立場」でいる限りはそれをしなくてはならないし、実際にそれを実行した――。

この山は、山梨の県有林。すなわち公共の財産。それを役所が主導で破壊している。本来、こういったことは何らかの形で告発すべきこと。だが、私にはそれができなかった。弱虫だったから。たまたま粟島へ行く縁に恵まれて、林業労務者としての「立場」から離れることができるので、こうして書くことができる。卑怯者である。

その自覚だけは持っていた。それが仕事として当たり前と考えている役所や私を雇用していた事業主には反撥を覚えた。覚えたが、反撥してどうなるものでもないということも理解していた。私にできるのは、縁を切ること。ただそれだけ。それが今回、果せることになった。別の縁に恵まれるという形で。その縁は、たまたま林業ではなかったという、ただそれだけのこと。