かながわ沿線物語:移りゆく街 リニア 橋本駅 「躍る数字」の前に議論を /神奈川 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース


経済予測がいかにいい加減かは、後日1980年代のリニア書籍を紹介いたします。
はじめから作られた数字に踊って、実は嘘でしたというのが過去の歴史です。
リニア関連企業でありJR関連企業の三菱総研が経済予測して、その情報をメディアに流していた過去があります。


以下記事
◇住民ら情報開示求める

 駅利用者は年間で約1370万人、県内生産額は年約3200億円増え、観光客は年約115万人増加する−−。JR東海が計画するリニア中央新幹線の県内駅開業による経済波及効果について、県はこう試算した。大プロジェクトを前に夢を乗せた数字が躍る。
 リニアは14年後の27年に東京(品川)−名古屋間、45年に名古屋−大阪間の開業を予定している。最高時速は500キロ以上で、東京と大阪を約1時間で結ぶ。総事業費は約9兆円。
 東京−名古屋間のルートは神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県を経由し、各県に一つずつ駅が設置される。今秋にはJRが正式に駅の位置を決定し、14年度にも建設が始まる。
 神奈川県の経済効果試算は、県内駅に1時間あたり5本の停車を前提とした。しかし、09年にJRが国に提出した報告書では、上下それぞれ1時間あたり最大8本の列車運行を予定するものの、県内駅も含め各駅に停車するのは1本だけ。
 JRは開業時の経済情勢などで最終判断するとしているが、各駅停車は東京−大阪間が約40分余計にかかるという。地元がこれを上回る停車のメリットを提示できなければ、効果は絵に描いた餅となりかねない。
     ◇
 県内駅は地下に建設され、その有力候補地は相模原市緑区のJR・京王橋本駅周辺。具体的には、橋本駅の南西に隣接する県立相原高校が想定されている。
 「安全性や周辺環境に及ぼす悪影響の情報開示が不十分。原発建設と同じだ」
 橋本駅の周辺住民らでつくる「リニア新幹線を考える相模原連絡会」の事務局長、中野渡旬(なかのわたりじゅん)さん(64)は憤りを隠さない。騒音や振動、超電導磁石を利用することによる電磁波の影響、活断層を突っ切るトンネルの安全性……。明らかになっていない点は多い。
 中野渡さんは外資系の材料メーカーで開発を担当してきた。一昨年に退職後、地元に情報を出さないJRや行政の姿勢に疑問を感じ、建設影響の検証を求める市民グループの活動に加わった。仕事で定期的に訪れたドイツと比べ、日本では公共性の高い事業に検証の視点が欠けていると感じ、第三者によるチェック機関の必要性を訴えている。
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 相模原市は昨年2月、リニア県内駅設置に伴う基本計画の検討委員会を発足させた。県、都市計画の専門家、公募市民らとともに、来年度末までに結論をまとめる。

市はリニア開業やさがみ縦貫道開通を機に広域交流拠点としての発展をもくろむが、市提示の将来像に関し、委員から「データを踏まえた議論をすべきだ」と指摘があり、議論は半年以上にわたり中断している。
 JR東海は駅の建設費約2200億円を全額負担すると表明した。一方で、用地取得には触れていない。開業に伴う費用負担については、周辺開発を含めて今後、JRと県、相模原市の交渉が必要になる。
 これまで新幹線新駅や空港など交通拠点の新設は、費用対効果を踏まえると、当初の期待通りにいかなかったところも少なくない。なし崩しではなく、情報公開を徹底して議論を尽くした上での「鉄道を拠点とした街づくり」が、求められているだろう。【北川仁士】=このシリーズは終わります。次回、番外編として学識者インタビューを掲載します。
1月10日朝刊