図書館本

読んでみてがっかりな老人言いたい放題の本。
読売新聞の主筆で86歳と言うから、さぞ愛国で利他な思想哲学を披露してくれるものと思っていたのに。密室談合政治を手引きすることを誇らしげに語っておられます。

基本的に自己弁護、経済優先日本論、活字メディア優秀論を大連立だの中連立だので自分の思い通りの日本にしたい様です。そしてご自身とアメリカとの関係は何も書かない。その辺は正力松太郎からの伝統を受け継いでいるのだろうか。

さて、備忘録的メモと感想
橋下徹嫌いは結構だが、秋波を送ってないですかね?叩いて持ち上げる(21世紀日本の歴史的リーダーになる可能性もないとは言えないと)
田中角栄に関して:高等教育を受けていない人だったが(自分は開成、東大)、だからこそ官僚を大事にして知識を吸収した。(大学出身者だって官僚を大事にする人はするでしょう) 中略 金権政治の象徴のようなロッキード事件に首を突っ込まなければ、彼は歴史に残る大宰相になっていただろう。(それだけ?中国とアメリカの狭間での経緯を筆者が知らないはずはないと思うけど。上手に逃げますね)

既成政党の政治にたいする不満のはけ口が特定の政治家に求心力を持たせる現象は、ヒトラーの例をみても分かるとおり、政治的にはきわめて不健全な結果をもたらすことを歴史が証明している(パンとサーカスも出して)。だから橋下が危険だという論調しか出来ない主筆さんです。少なくとも橋下氏は密室談合政治を手引きをした渡邉氏よりは透明公開性が高いと思うよ。

中曽根、瀬島龍三が大好きのようだ。(やっぱりね)
連立工作の吐露: 1983年中曽根内閣時、自自連立で60兆円の公的資金導入で世界恐慌突入の危機を救ったのだそうだ。 2007年の大連立 福田 小沢 X(元大物官僚とのこと)渡邉で画策 結局失敗。いアッも間違った事はしていないと確信しているそうだ。そして その後は中型連立(民主と自民)をと考えているらしい。

小選挙区制は政治家の質を決定的に衰弱させた。(これは同意)
学者の机上の空論「マニフェスト選挙」(確かに菅さんが採用したけど自滅だったね、でもばら撒き公約よりは良いと思うけど)
1993年テレビ朝日 椿事件(椿氏は渡邉氏と家族ぐるみの付き合いだったようだ、ワシントン時代)でテレビの偏向性を指摘している。公正中立な放送を求められる放送法に違反すると。日本の既成メディア(新聞、テレビ、ラジオ等で公平中立客観性を担保したところありますか???)読売新聞の主筆が今更言うかって感じ。新聞は偉くてテレビは駄目なようだ。(目くそ鼻くそを笑うってやつだね)大連立の主張を新聞上でするのは良いとの事。

テレビのワンシーンは新聞の1万語に匹敵する(椿氏の信念とのこと)

日本のあり方:消費税増税、時限措置としての相続税免除と利子ゼロあるいはマイナスの国債(無税国債)の発行、原発維持、原発輸出 (朝日新聞の原発ゼロ社会主張はおかしいのだそうだ、まあ正力さんのDNAが続いている読売ですからね)
さらに社会保障は負担でなく投資の対象と捉えなおして、旧来のハコ物中心の公共事業投資から、医療、介護充実の公共投資に転換するのだそうです(確かに雇用は増えるでしょうが生産性ありませんよね、その雇用も非正規で若い人を使い捨てでしょうか? 儲かるのは一部の企業と投資家ですかね)

大衆迎合政治(パンとサーカス)の結末はギリシャなのだそうだ。であるのなら原発推進、公共事業ばら撒きでの負の遺産を作った自民党政権と結託していた読売新聞の責任はないんですか?

タンス預金のたとえが奮っています。3.11震災津波で流された金庫に多額の現金があったりとか、旧札を300億円持っている人が税理士に新札交換の相談にいくのだそうです。


日本における相続税にたいする重課税論議は社会主義者でなければ、「金持ち」に対する嫉妬心の強い人に多い。嫉妬とは人間の最たる劣情であるが、古来ポピュリスト(大衆迎合政治家)は大衆掌握のためこの劣情を扇動しがちである。政策決定にあたりこのような人性劣情を利用することは結果的に有害となるものだ。p206 そんな劣情の渦の政治の世界の住人である渡邉氏には四季を持つ日本の自然の美しさなどは見えていないのであろう。だから放射能で汚染された福島も廃棄物捨て場の青森も人ごとなのであろう。僕には到底愛国者には思えないのである。


反ポピュリズム論 (新潮新書)
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