図書館本

牧野氏(1960−、元日本経済新聞社記者)のご自身の経験から語られる日本の既成メディア(特に新聞)のあまりにお粗末な内情。そしてアメリカの新聞(特にWSJ,NYTimes等)との比較。460ページにも及ぶ(講談社のウエブマガジン「現代ビジネス」への連載をもとにしているとのこと、それで若干、内容の重複があるのかもしれませんが)
日経を辞めた理由を 2006年に書いた原稿が、内容にまったく問題ないのに「社内的に微妙だから」という理由(権力側からの圧力があった)で没になったからだと吐露している。
そして当時4歳と2歳のお子さんがいたが、奥さんが「大丈夫、私が働くから、辞めて本を書けば」と勧めてくれたそうだ。

読み始めて感じたのは、烏賀陽 弘道さん(1963-、元朝日新聞)と非常に似た指摘をしていることである。簡単に書けば、日本は発表報道が殆どで、調査報道が無いということだろう。本来のジャーナリズムのあるべき姿である第4の権力としての権力の監視がまったく出来ていないことだ。

備忘録的メモ
無実確定を伝えない新聞(逮捕時はお祭りの様に報じるのに、クレディスイスの道傳さん、キャッツの粉飾決済事件での公認会計士の細野さん、ともに推定有罪で話しが進む)
検察の情報リークによるマスコミ操作、そして関係者の動揺 村上ファンド事件
アメリカでのイラク大量破壊兵器報道(ミラー記者の間違った?記事)
日本におけるクロスオーナーシップ(テレビ局系列と新聞社の系列)
権力側がマスコミに情報をリーク(権力側の思い通りの記事になる、記者クラブの存在、紙取り記者)
リーク元である権力側を匿名にしたまま権力側の主張を無批判に伝える報道。(ライブドア事件、村上ファンド事件、郵便不正事件等)
権力側リーク者とジャーナリスト(新聞記者)が仲良しクラブ的関係(特捜部批判などをかけない状況を作りだす)
世の中を変えるような判決をかく裁判官がいない。(裁判所が巨大権力)
EUが競争妨害とみなす日本の記者クラブ
職業倫理の日米での差(講演料無しでも取材先の依頼で、講演をしない。取材先に助言をしない等)
調査報道は「権力が発表したがっているニュース」ではなく、「権力が隠したがっている秘密」を暴き出すのを特徴としている。
権力に気にいられる報道より権力に嫌われる報道が評価されるアメリカ。
チェックなき権力は腐敗する。(お仕立て券の山梨県か?)
放っておけば権力は秘密主義に走る。
日本での調査報道NPOの可能性は?(日本の大新聞では年収1千万を超え、黒塗りハイヤーを毎晩乗り回す記者が多数いるとのこと)
一面トップはニュース記事の常識を覆す(WSJ) フィーチャー記事へ。
通信社記事(大半が共通ネタ、発生モノ)と自社ネタの違いを出すことが重要
権力の不正や汚職を暴き、社会的弱者を守る(ピュリツアー賞、公共サービス部門の理念)
日本の新聞は「掘り起こし型」でなく「発表先取り型」、発表先取り型は何もしなくてもそのうち結局は分かる事 日本の新聞協会賞はこのタイプが多い。
政治3流の背景にあるのは第4の権力であるマスコミのチェック不足が背景にあるのかもしれない。
匿名、仮名、無署名な記事を減らす事が重要
記者はサラリーマンでなくジャーナリスト


官報複合体 権力と一体化する新聞の大罪
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