図書館本

高木氏(1941−、元読売新聞記者、早稲田大学客員教授等)が世界遺産登録と鎌倉の関係性を詳しく説明している。
そしてこれまでの世界遺産との比較等を通じ、世界遺産登録と地域社会のあり方のアイデアが綴られているようにおもう。

「武家の古都」というキャッチフレーズであるが、宗教関係者は「宗教都市」を強調する。確かに鎌倉にはキリスト教の教会も多くあり3.11震災では宗教を超えて祈りを奉げた街でもある。

不勉強な私は世界遺産の登録の6基準のうち、鎌倉は3と4に該当するという(どれか一つに該当すれば申請可能)ことすら知らなかったし、21箇所が構成資産として登録を目指しているとの事だ。

そして、これまで鎌倉の景観保護や自然保護に係わった風致保存会の活動の意義など市民運動としての役割の重要性も指摘している。ただ、逆に言うと、鎌倉幕府後の歴史はいかに開発から鎌倉を守って来たかという歴史でもあるように思う。その結果が年間2000万人といわれる観光客の皆さんが訪れる鎌倉となったのだろう。
そしてその観光客の皆さんが落とすお金で寺社仏閣も整備できてきたのが現状のようだ。

また景観に関しても多くの問題点が現在指摘されている(特に生活景観)建物の色や作り、道路の問題(車規制の問題等)も住民と行政が一体となって議論して良い方向性を見つけ出さねばならないのだろう。直ぐには出来ないのだろうが、未来に対して価値ある遺産として子ども達に引き継がねばいかないだろう。
そこには鎌倉の子ども達や若者の夢や意見が当然織り込まれなければいけないと思うが、残念ながら本書の中には若者達の意見や夢は出てきていないように思う。


鎌倉世界遺産登録推進協議会の会長であった養老孟司氏が会長を辞任した経緯があまり詳しく書かれていない、この辺の事情はジャーナリストとして一歩踏み込んで貰いたかったと感じた。そこに行政主導なのか市民主導なのかの答えがあるように思うのである。

どうなる鎌倉世界遺産登録 ジャーナリストが見た「武家の古都」
どうなる鎌倉世界遺産登録 ジャーナリストが見た「武家の古都」
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追記
10月6日(土)に日本景観学会が建長寺であり「鎌倉の景観と世界遺産への道」のテーマで開催された。
一般参加も許されていたので参加した。
風致保存会等の活動が大きな開発から鎌倉を救ったということが良く理解できた。

ただ、発表者の多くや参加者からの発言も高齢者が多く、これからの鎌倉の未来を担うべき子供や若者がどう係りをもって行くべきかという観点は完全に欠落していた。

誤解を恐れずに書けば、現状の生活景観を悪くしたのは私たち大人と先人である。多くの観光客の方は古都を見に来るのであり、近代的な建物や風情を求めていない。だとすれば、いかに壊された景観を100年後のために改善していくのかが今を生きる大人の責任なのでしょう、そして若い人たちに任せて(爺婆は温かく見守れば良い)鎌倉を後世に繋げることが必要なのでしょう。