僕は森へ家出します 荒川じんぺい 岩波書店 1990

この本は岩波の自然人のための本箱というシリーズの1冊のようです。
他に、片岡義男、芦沢一洋、遠藤ケイ、根深誠、野田知佑といったそうそうたるメンバーが書かれていて、僕も何冊かは読んでおりました。

実はこの本は本棚な肥やしになっていて(あえて危険性を感じて読まなかったというのが正解なのだけれど)、やっと50歳を過ぎて読んでも大丈夫かなと思った次第。

やっぱり僕の判断は正解でした。本書を10年前に読んでいたら、おそらく仕事を辞めて森に本当に家出したことでしょう。(笑)よかったよかった。

さて、本書は装丁家である荒川さん(1946-)がワーカーホリックな仕事人をしながら山梨県小淵沢に大きな自宅を作る(東京へは電車通勤)お話です。
もちろん、すんなりと話が進まない所が味噌なのです。そして、山に自宅を作るまでの家族でのアウトドア生活、焚き火の楽しみ、さらにご自身の幼少時代の体験等が脈々と書き綴られています。
まったく羨ましい限りです。そして幸せなご家族(奥さま、当時高校生のお嬢さんと中学生の息子さん)
そして、自然に対する真摯な立ち位置が生まれる課程が見えてきます。
荒川さんは33歳の時に都心から中央線で1時間程の所に建て売り住宅を購入、仕事場のある九段に通っていたそうである、そして、最終的には小淵沢の森の中へ。

森の家を作る過程の話(役所の対応やら大工さん、設計氏さん等々の人間関係)も面白い。

移住後の話を書かれた本もあるようだ。


僕は森へ家出します (自然人のための本箱)
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