会長室|日本学術会議


皆さんはこの文章をどう思うのでしょう?
ファイスブックでもいくつかコメントいただきました。

これが日本の学術トップの方の年頭あいさつ。
原発もリニアも同じ文脈の中で絡みとられているように思うのです。

好きなことだけやって不具合がおきても責任を取らない思想。
もしかしたらこれが日本の科学技術の思想そのものなのかもしれません。

官僚が書いた霞ヶ関文学かもしれませんね。

会長からの年頭メッセージ

 日本学術会議が新体制になって丸6年が経過しました。再任なしの6年任期制、70歳定年制、女性会員や地方会員の増加、現会員が次期会員を選ぶ選出方法採用、連携会員新設等からなるこの改革の狙いは複合的ですが、その重要な一つが、会員を固定化せずに、広く科学者コミュニティーから選考することによって、代表制と活動力を確保することにあったのは間違いありません。現在の会員には、既に6年間、あるいは3年間会員を務めてきたメンバー、昨年10月に新たに会員になったメンバー等、異なる経歴のメンバーが混在していますが、新制度になって選出されたという共通性があります。つまり、6年前に行われた改革の意義が真に問われるのが、第22期の活動なのです。科学者コミュニティーはもとより、政府、産業界、国民が、特にこれからの3年間の日本学術会議の活動をどう評価するかによって、国の機関としての日本学術会議が、国民の信頼の下で、安定的に存在し得るかどうかが決まるといってもよいと私は思っています。

 日本学術会議が基礎をおく科学は、実証的な方法で体系づけられた知識と定義づけられ、単一の真理を目指して磨きあげられようとするのですが、現実には、異なる見解に至る科学的知識が存在するという実態にあります。われわれは、この実態を認識しつつも、それが科学の発展段階における過渡期のものであるという認識をもって、真理探究を継続する必要があるとともに、現に存在する認識の相違が何に起因するのかを科学的方法によって明らかにすることも重要な営みと自覚する必要があります。昨年3月に起こった東日本大震災による津波災害と原子力発電所事故によって大きな被害が出たことは、この現代科学の不完全さをえぐり出すとともに、不完全な科学を応用に利用することに関わる科学者の悩みをも顕わにしたといえます。日本学術会議もこの問題から無縁ではなく、国土や都市を構成するのに利用されてきた科学的知見のどこに脆弱性があったのか、原子力発電技術の不完全さとそれを応用するに際して慎重さへの認識がなぜ不足していたのか等を自問しつつ、復旧復興、放射能からの安全確保に向けた多くの提言等を公にしてきました。

 第22期においては、これらの活動をさらに発展させていくとともに、東日本大震災における経験を日本学術会議の強化に生かしていく活動を進めていきたいと考えています。折から、総合科学技術会議の改革が論じられ、科学技術イノベーション本部と科学技術イノベーション顧問の新設が提案されています。どちらも、科学的な発見や発明による知的、文化的価値の創造を、さらに経済的、社会的、公共的価値の創造へと結びつけることが日本の最も重要な活動分野であるとの認識に基づいた提案であり、科学を大いに奨励しようという意味を含んでいます。このように日本学術会議が本来果たすべき役割に期待が集まっていることを改めて認識し、学術の発展のために常にも増して充実した年にしたいものです。

2012年1月 第22期日本学術会議会長  大西 隆