原発はいらない 小出裕章 幻冬舎ルネッサンス新書 2011年7月
献本

原子力に魅せられて研究者となり、そして原子力発電所という魔物を知ってしまった男の物語。
名誉や肩書きよりも真実を追い求め、世の中に伝えようとする姿、これこそ本当の研究者あるいは学者という職業ではないのだろうか。

筆者は東北大学に在学中に女川原発の建設問題が起こります、そして、なぜ仙台の電力を女川で作らねばいけないのか?とう非常に単純な住民からの疑問に答えを見出せなかった。
そして、アカデミズムの中で原発を反対していくことを決めたと書きます。そして現在の所属である京大に職得て、良く知られているように未だ助教(助手)の地位にいます。しかし小出さんは弾圧も迫害もされたことはないといいます。(東大にいた宇井先生のようですね)。

福島原発の現状の解析と他の原発や再処理工場問題に関してもわかりやすく説明を加えています。さらにはプルサーマル計画(もんじゅ)の不可能性も指摘しています。

放射能の年齢による感受性の違いは知られているとこですが、小出先生は放射能汚染した食品に関するR指定(年齢による摂食基準)を提案されています。簡単に言えば、子供には絶対汚染の無い食物を、そして成人にはある一定基準をもってたとえば60歳以上は摂食可能なR−60指定等です。

原発は決してエコでないことを、ウラン鉱山からのウラン採掘、精錬、濃縮、原子炉、再処理、廃棄物処理という一連の過程で放出される二酸化炭素の多さを指摘し、二酸化炭素を出さないのは発電時だけだと示しています。
さらに原発建設コストのからくり、揚水発電所を深夜発電のために作らざるを得ない現状。そして最終的には人智を越える毒物が生成され未来に先送りされる。

自然の力を活用する新エネルギーを議論する前に、「たかが電気のために、何をしてもいいのだろうか」と考えることが必要。エネルギー消費を今の半分にしてはどうだろうか?

原発廃絶という願いを持った小出先生は、ご自身を敗北の歴史だと書きます。そして福島の事故が最大の敗北だと。
今こそ、一人一人が事実に向き合い、行動を取ることが求められているのでしょう。

原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書 こ-3-)
原発はいらない (幻冬舎ルネッサンス新書 こ-3-)
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