続 失敗百選 中尾政之 森北出版 2010

献本

350ページを超える本書。
前著から続編であるが、前著は読んでいません。
今回は民生品、ソフトウエアー、商品開発、労働災害の分野から108個の失敗事例、前著から選びそこねたハードウエアの失敗を82個、トータル190の失敗事例を紹介している。
これは、科学技術振興機構(JST)の「失敗知識データベース」の検索トップ100をほぼカバーするという。
筆者はハードウエア以外の分野ではリスクよりベネフィットのほうに天秤が傾いていることが分かったと指摘する。リスクを減らすとベネフィットも減るのである。だから商品開発では、たとえば大手メーカーはある商品に関して撤退したりする。
失敗事例を学ぶということで次の分類を作り個別の案件を説明している
技術的で要求機能未達の失敗:劣化や基礎不良、バランス不良
技術的で要求機能干渉の失敗:異常摩擦、自動制御不能、誤作動
技術的で要求機能複雑の失敗:化学反応暴走、感染症の蔓延
組織的で要求機能未達の失敗:火災避難、入力ミス、安全装置解除、マニュアル無視
組織的で要求機能干渉の失敗:だまし運転、コミュニケーション不足、組織間の齟齬
組織的で要求機能複雑の失敗:違法行為(耐震強度)、企画変更の不作為(ダム工事)、倫理問題、事故訓練不足等

小さな部品から原発事故や感染症の蔓延まで、失敗の「なるほど」が網羅されている。
最近ではアメリカでのトヨタレクサスの電子制御部品の問題が大きく取り上げられたが、つい数日前(2011年2月)にアメリカ政府機関は電子制御部品に異常はないことを発表した。果たして、車の暴走は何によって起こったのか?
失敗学から成功を学ぶために我々は何をしなければいけないのか、それはきっと技術的な問題とともにヒューマンエラーと思想や哲学にも繋がるように思うである。


続・失敗百選 - リコールと事故を防ぐ60のポイント
  • 中尾政之
  • 森北出版
  • 3780円
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書評