祭り囃子がきこえる 川上健一 集英社 2010
図書館本

祭りという「ハレ」の日。
子供も大人も男も女も心震わせる日。
日常があるから非日常をヒトは期待するのだろう。
民俗学者の宮本常一が書いているように、盆踊りや歌垣という行事が男女のモラルを超越しうる文化として脈々と続いてきたのは、ヒトがそれを欲しているからだろうし、本能なのだろう。
祭りの日を待つ高揚感、祭りの燃焼、そして日常へと戻っていくけだるさ。
「晴と褻」そんな文脈の中の男と女の物語が8篇。
ふと、「雨鱒の川」「翼はいつまでも」の登場人物が各地の祭りに足をはこんだ様な錯覚にかられた。そんな川上ワールドが広がっている。

「再会」そんなテキストがもっともふさわしいのである。中年オヤジは間違いなく震えるだろう。電車やバスの中では読まない方が良いと思う。


祭り囃子がきこえる
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