献本

歴史にはIfはないと言われる。
しかし、起きた事象に関する評価は多くの場合に時に利己的である。
本書は自虐史観を排除しようとする方向性であろう。この逆の立場が自慰史観だろう。
東大の小島毅氏(父が子に語る近現代史等)(1962−)などは、極力、感情を押さえた醒めた目で日本とアジアの歴史を見ているように思う。
本書の著者である竹内氏(1966-)は愛国者であろう、ただ、その文章は非常に攻撃的であり感情的に感じる。それはおそらく、事象の見方が常に同じ方向から見ているように思われるからだろう。また、断定的な文章と推測的文章が散在しているのも特徴かもしれない。小島氏にしても竹内氏にしても完全に戦争を知らない世代である。得られる情報は文献や記録された書籍からだけである。どの情報をピックアップするかが問題となる。
個人的には両論併記が中立的であろうと思う。すなわち日本から見たアジアであり、アジアからみた日本である。
東京裁判史観も見方により評価が変わるのである。パール判事を称える者もいれば、称えない者もいる現実があるのである。
自虐でも自慰でもない史観がこれからのアジア・グローバルのパートナーシップを築くのだと思う。

第1章 日中関係/現在
第2章 日朝関係/現在
第3章 日中関係/近現代
第4章 日朝関係/近現代
第5章 近代以前の日中韓関係
新説 竹内流史観で見る古代の日本史


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書評