交感する中世 網野善彦 谷川道雄 洋泉社新書 2010
図書館本

古さを感じない内容です。

1988年に発表された対話の復刊
網野善彦(1928-2004)、谷川道雄(1925− )の教え子(名古屋大学)達が企画した1986年9月6日から3日間にわたって行われた対談の記録。四半世紀前である。
日本中世史と中国中世史とは何か?西洋と比して遅れている歴史があるのか。歴史に疎い(勉強してこなかった)自分を恥じるばかりである。
網野さんと言えば、常民からの目線による歴史であり、百姓は農民にあらずという古文書からの実証的証明はこれまでの学校で習った歴史をひっくり返してくれたように思う。
共同体と自由、オホヤケ(大家,大宅)、支配と自由、文字の機能(共通語としてひとつの国、話し言葉との違い)
自然に対する対し方(所有するだけでない対し方)、権力や権威に対する対し方。
日本というものが多元で多様であることを知ることが日本の本当の姿を知る事なのだろうと思う。
前の時代よりも、発展した後の時代の方に高い価値があってもよい。生産力が発展すればするほど社会が進歩するという考え方の危険性を指摘している。もちろん歴史が不可逆的に進展していることには間違いないが、何かが切り落とされている。しかも、人間にとって非常に大切なものが切り落とされていくことがあると指摘している。


交感する中世 ~日本史と中国史の対話 (洋泉社MC新書)
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