さらば財務省 高橋洋一 講談社 2008
図書館本


高橋氏(1955− 内閣参事官)の小泉・竹中改革時の舞台裏、いや舞台そのものを綴っている。読み終えての感想は、職人としての官僚、利他的、ノブレスオブリージュといったテクストだろうか。
埋蔵金問題は、現在民主党政権で仕分けの対象となっている独立法人や公益法人の問題点としてすでに指摘している。
日本の赤字問題は、財務省の増税ありきのための背徳的な目くらましであり、実はバランスシートを作れば、メディアで騒ぐ800兆円などという額にはなりえない。
経済成長率があがれば、財政再建は出来ないという理論が存在する。
優秀な個人としての官僚、非効率で既得権益優先の組織としての官庁。

日本の国益のために存在するであろう国家公務員や地方公務員、その質と力量が問われていることは間違いない。そして、政治家という舵取り役がいかに優秀な職人的官僚とタッグを組んで前に進むかという命題。
いつの世も人間関係という海の中で嫉妬や利害といった魑魅魍魎とした魔界が存在することを本書は垣間見せてくれる。おそらくは、ほんの一部分に過ぎないが。
高橋さんが書く小泉・竹中改革は善であるとの大前提であるが、官僚として職務をまっとうするという文脈から言えば当たり前の行動なのかもしれない。


さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白
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