ボート移動疲労色濃く診療所休診、宿泊施設も : 山梨 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)


誤解を恐れず書いておこうと思う事があるけど。
やっぱり、後にしよう。

ちなみに、良く●●湖って表示されるけど、ダム湖の場合もよくありますよね。

自然災害に対する備えや覚悟が出来ている場所ですら、この様な状況に陥る。
果たして脳化した都会で起こったらと思うと背筋が寒い。
カトリーナでしたっけ、アメリカのハリケーンは。

リンク切れになるので、テクストを保存。
下記記事

相次ぐ土砂崩落で早川町雨畑の雨畑湖沿いの県道は26日も通行止めが続き、孤立状態となった雨畑地区5集落(本村、老平、馬場、細稲、室畑)の83世帯約160人の住民の間からは「病院に通いづらく不安だ」などと心配する声が続々と上がった。町は同日、通行止めの現場を迂回(うかい)する形で雨畑湖を往復するボートを運航し、通勤、通学する住民や郵便物を運び始めたが、県道は復旧のめどが立たず、集落には「いつまで不便が続くのか」と疲労感も漂っている。

 

■「20人も並んだ」

 崩落現場の東、早川町中心部側の雨畑湖岸の船着き場からは26日の朝から晩まで、孤立した集落へ向かう住民らがボートに乗り込んだ。赤いライフジャケットを着て、操縦者を除いて最大3人ずつが乗っていく。

 同日夕、馬場集落へ帰るという無職轍(わだち)英雄さん(72)は、朝に集落側を出たときは「ボートへ乗るために20人も並んでいた」と話し、「ボートを下りてからも車がないと動けない。病院に行きづらく、ものすごく不便だ」と疲労感をにじませた。

 逆に孤立した集落側の湖岸には26日朝、臨時の船着き場が設けられた。町中心部側へ出るボートは浅瀬まで着けられないため、幅30センチ、長さ3メートルほどの板2枚を湖岸からボートに渡し、ライフジャケットを着た住民らは慎重な足取りで乗り込んでいた。

 夕刻、ボートで本村集落に帰宅する小学4年の息子を迎えにきた町議の望月三千生さん(54)は「大雨が降ると通学できなくなるだろう。授業を受けられないと困るので、学校には『自宅学習の手段を考えてほしい』とお願いしてきた。船着き場への出迎えは車だが、燃料がなくなると家から出られなくなる」と不安を訴えた。

■リハビリ通えず

 本村集落の無職斉藤秀利さん(76)は「歩行訓練をしに町中心部側の保健センターへ通えなくなった」と困惑している。斉藤さんは約30年前、工事現場で落ちてきた鉄骨が腰にぶつかり、下半身まひになった。松葉づえが2本ないと歩けないため、「乗る際に段差のあるボートは無理」とあきらめた。

 26日は地元の雨畑出張診療所が急きょ休診となり、骨粗しょう症の妻和子さん(75)も予定していた注射を打ってもらえなくなった。

 富士川町内のファミリーレストランに勤める次女の村松良子さん(43)は、23日に土砂崩落があってから夜勤のためボートの時間に間に合わず帰宅できない。良子さんは「食料は大丈夫?」と電話をかけてくるが、小学3年の孫の夏歩さん(8)が「お母さんに早く会いたい」と寂しがっているという。

 食料も心配だ。野菜は家庭菜園でまかなえるが、コメは26日、近くの酒屋に配達してもらった。「毎日野菜ばかりではまいってしまう。肉も魚も食べたいので、きちんと届けてほしい」

■40人キャンセル

 雨畑地区の唯一の宿泊施設「ヴィラ雨畑」は、24日以降に宿泊予約を入れていた約40人の客に土砂崩落で県道が通行止めになったことを伝え、急きょキャンセルにしてもらった。沢登祐二支配人(49)は「楽しみにしているお客さんにほかの施設を紹介しなければならないのが残念。ボートでは客を受け入れられないので、早く復旧してほしい」と願っていた。

 土砂が崩落した早川町雨畑の幅約5メートルの県道は、急峻(きゅうしゅん)な山肌と雨畑湖に挟まれた場所を走っている。雨畑地区から静岡市につながる未舗装の林道はあるが、集落の住民にとっては、この県道が町役場や甲府方面に行ける事実上、唯一の道だ。

 県道路管理課によると、この県道を通る車は1日平均で約340台。雨畑地区は、65歳以上が人口の約60%を占め、約15キロ・メートル離れた身延町の飯富病院に通う人も多い。町の記録では、県道の通行止めで長期間にわたって集落が孤立するのは1982年の台風以来という。26日朝から始まったボートによる輸送は町始まって以来の事態だ。ボートはこの日、午前7時半の第1便から午後6時までに約25往復し、延べ109人を運んだ。27日も引き続きボート1隻で輸送にあたる。

 町は26日、孤立した集落の全世帯に対し、欲しい食料や日用品を希望できる注文票を配布した。町が27日に注文をとりまとめて物資を調達し、28日にボートで集落に届ける予定だ。町中心部側のボートの船着き場にはタクシーが待機し、町役場までの約4キロの代金は町が負担する。峡南消防本部は県消防防災課と協議し、救急患者が出た際、県の消防防災ヘリで救急搬送する態勢を確認した。

 甲府地方気象台によると、雨畑地区に近い南部町の地域気象観測システム(アメダス)が観測した1日の雨量は23日が72・5ミリ、24日が60・0ミリだった。27日夕からも雨が降る可能性があるという。



 道路管理の専門家によると、雨畑湖周辺の地層は「新第三紀」と呼ばれる海底で堆積した岩石でできており、軟らかいため雨や空気の影響で風化し、土砂になりやすい。

 こうした地層ののり面には、風化防止のためにモルタルを吹きつける工事が主流だが、モルタルは年月がたつと劣化し、ひびが入ると、地層の土砂化が進み、崩落が起きる原因となる。

 雨畑湖付近は、地形が急峻(きゅうしゅん)であることに加え、モルタルの劣化の進行、雨で地層内部の水圧が高まっていたことが重なり、崩落が相次いだと考えられる。

 県内には同じようなのり面が至るところにあり、すべて検査し、補修するには莫大(ばくだい)な費用がかかるという。
(2010年5月27日 読売新聞)