森を歩く 田中淳夫 角川SSC新書 2009
図書館本

森林セラビーへのいざないという副題になっている。
森林療法というのは上原巌さんが使い出した言葉だそうですが、森林セラピーというのは林野庁が指導する形での造語だそうだ。また厳密には療法とセラピーの定義は違っていて、森林セラピーという言葉は商標登録もされているそうだ。さらに森林セラピー研究会が認定したものだけが森林セラピーなのだそうだ。要するに国が品質にお墨つきを与えたとのことである。何か補助金や天下りという匂いがプンプンしますね。そして全国に認定された森林セラピー基地なるものがある。
以前、森林医学という本を読んだ事があるが、医学と言うには心もとない内容であった。
何をもって森の医学的効用かというと、ストレスホルモン(唾液中のコルチゾール濃度)、血液中のNK細胞の活性化、血圧、心拍数等を指標しているが、では、何が、例えばフィトンチッドが直接的あるいは間接的に何に影響しているか等は未解明なようだ。
その様な状況で森林セラピー研究会という団体がお墨付きを与えていると言う事が理解できた。
さて、多くの人が森に入ると癒されると感じる。あるいは多くの中高年が山登りに興じる現在を見れば、森の効用は間違いなくあるであろう。そして科学は万能ではないという前提に立てば、国が主導するようなことではないのである。
湯治という行為は昔から行われ、難病が治ったというような記述も古くからみられる。おおそらく其れははっきりした医学的根拠は証明できないけれども経験的に日本人は知っている。日頃の労働から解放され、少しばかり普段より美味しい食事をして何日間かを森に抱かれた湯治場で過ごすことで人間本来の免疫力あるいは生命力が向上するのであろう。
要するに科学的証拠を頼りに右往左往してストレスを溜めるより、昔どおりの湯治という枠組みで十分なのであろう。
本書で「森を歩く」は上記の森林セラピー基地を歩くとの意味である。

ちなみに本書にはCWニコルさんのアファンの森の事例は出て来ない。たしか既に多くの森林と医療とのコラボレーションに関する取り組みをしていたと思うが。
今度は上原さんの森林療法の本を読んでみたいと思う。


森を歩く―森林セラピーへのいざない (角川SSC新書カラー版)
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