京都北山 京女の森 高桑進 ナカニシヤ出版 2002

多くの国立大学には演習林という名前の山を持っていたりします。ただ、私立大学、それも女子大が山林を所有しているなどと想像もしておりませんでした。まったく無知な自分です。
本書はそんな女子大(京都女子大)が所有する素晴らしい森に関してのお話です。
第一章 京女の森の四季
第二章 日本海要素の見られる森
第三章 生命環境教育のすすめ 
の三章から構成されています。この京女の森の森は京都の中心部から1時間半ほどの所にある里山です。天然林ではもちろんありませんが、その多様な姿は第一章、二章に描かれている通りです。
個人的には第三章の「自然と科学と宗教と」で書かれている高桑氏の考え方に強く同意するものです。
科学と宗教は決して相反するものではなく、本来は相乗的に人々に幸福を作り出すものでなければならないのでしょう。そして自然という生物を育む体系の中でヒトは何をすべきか。それは都会という脳化社会では単に脳の中でのみ夢想され、森という身体性の中でのみ理解され体感され健全な思想として表現されるのでしょう。
素晴らしい森をもった京女の学生は幸せであり、高桑氏の様な先生に指導を受けられることはヒトとしての教養ばかりでなく実学としての素養となるのであろう。




京都北山京女の森
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