久々に高杉作品を読んだ。
実在の人物を作品の題材にしている。
クレジットカードやサラリーマン金融という兎角事件性の匂いを感じる分野を小説に仕立てている。
10年以上前の作品であるが、当時の状況は確かにニュースや新聞報道でも明らかな様に、強引な借金回収や自己破産、違法な金利等々であった。
本書では、消費者金融の改革を試み、残念ながら自身の会社は倒産する、その後、信用調査の会社を設立して、借りる側の立場も考えたシステム構築の話しである。
ただ読んで感じたのは、相変わらず駅前等には消費者金融の店舗が並び、借金苦で自殺する者が絶えない日本の姿でもある。
何か、貨幣と言うものが権力になってしまった市場経済主義の未来を暗示している逆説的な小説にも思えた。

小説 消費者金融―クレジット社会の罠 (講談社文庫)
小説 消費者金融―クレジット社会の罠 (講談社文庫)
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