日本辺境論 内田樹 新潮新書 2009

日本人とは何か?という誰もがもつ疑問をこれまでも多くの人々が言葉に綴ってきている。多くの学者はその専門分野の枠組みの中でその答えを導きだそうとしてきた。地理学的にみれば日本が小国であり離島であり辺境であることは明らかであろう。そこに歴史や地政学的な考察を加えていけばおのずと答えが得られると思われがちなのである。果たして本当にそうであろうかというのがおそらく内田氏の常に持たれている問いかけなのだと勝手に想像している。
いずれにしても再読せねばならない一冊です。

読んでいて付箋紙だらけになってしまったが、備忘録的にいくつか書き留めたい。
世界標準に準拠してふるまうことはできるが、世界標準をあらたに設定することは出来ない。
「日本人の標準的なありよう」って何だろうと思量している。でも、国民的合意はどこにもない。その不安がつねにつきまとっといる。
既成事実の前には実に従順に譲歩してしまう。
「虎の威を借りる狐」は決して「虎」の幼児期や思春期の経験を語ることができない。(自説を形成するに至った自己史的経緯を語れるヒトに関して)
日本人はこれから学ぶものの適否について事前チェックをしない。
どんな時代の、どんな領域でも、「時流に乗って威張る人」と「時流に乗って威張る奴に、いいように鼻面を引き回される人」があっという間にマジョリティを形成してしまう。
「学ぶ力」とは「先駆的に知る力」のことです。(学ぶ力の劣化にかんして)



日本辺境論 (新潮新書)
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