冠婚葬祭のひみつ 斎藤美奈子 岩波新書 2006

冠婚葬祭の婚と葬の意味は知ってましたが、冠と祭の意味は知りませんでした。
斎藤さんの本はどれも面白い、いや勉強になるという方が正しいかな。
いったいどれだけの本を読んでいるのか?斎藤さんの超整理術を期待したいほどの情報量なのです。
日本の歴史の中での冠婚葬祭を当時のマニュアル本から最近のモノとを比較していて、いかに「しきたり」とか「マナー」といったものがウツロイな事が分かります。逆にその「しきたり」を簡単に振り切れない現実があったりします。
そして一番おもしろかったのはやはり葬祭の歴史、墓の持つ意味は国家側の住民支配に仏教を利用して?住民登録な様なシステムを作りあげたのだろう。そして差別の問題もそれに絡んでくる。これは哲学者の内山節さんも同じような事を言われていたと記憶している。その他、戒名や埋葬の方法(火葬や散骨等)など面白い内容のテンコ盛りです。
読み終わった時に思ったのは、果たして自分が作った墓とか、子供にそれを引き継ぐというのが実はあまり意味の無いことではないかということだ。
文末に十分量以上の参考文献が挙げられているのでご興味のある方は是非。
備忘録的に
葬式や婚礼が宗教と係わるのは江戸からである。
戦前のマニュアルはセックス、迷信、優生思想に彩られている。
冠婚葬祭の担い手の3つの時代変遷
家(血縁)+地域共同体(地縁)(1900年代以降)
家(血縁)+企業共同体(社縁)(1960年代以降)
個人+家族(狭い範囲の血縁)(1990年代以降)


冠婚葬祭のひみつ (岩波新書)
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