同時期に、魂とは何か(トランスビュー)、私とは何か(講談社)が出版されている。
池田晶子(1960−2007)の死後に、池田の夫らが設立したNPO法人わたくし、つまりNobodyが編集したもの。
未発表の1編(死期の迫った2007年1月の語り下ろし「死とは何か」−現象と論理のはざまで−医師を対象とした講演会で病状悪化のため演壇にたてなかったために書いた)以外は新聞や雑誌等に掲載されたものをまとめている。
1.精神を捉えてやまない謎
2.ひとりだけで考える
3.役に立たないからこそ
4.人生は言葉とともに
5.存在の謎は、果てしなく
付録 自筆原稿「いいわけ」
すでに池田さんの本を読まれている人にとっては、どうなんでしょう?あまり纏まりがないという印象ではないでしゅうか。少なくとも自分はそう思う。でも買ってしまうのだな。
備忘録として
人間を動かすのはあくまでも思想と言葉です。科学技術、それ自体で動くわけじゃなくて、動かしているのは人間の正しい、あるいは間違った思想です。同じ科学技術でも、もっと正しいく使いなさいという思想が人の心にうまく入れば、正しい文明が作られるはずです。その意味では、「科学技術」を変えられるのは「言葉」だけです。P164
「書く」ということは、この指で、この力で、一字一字を書くことだ。摑まえた考えを言葉に封じ込め、この世の地面に刻み込むことだ。私にはどうしてもそうとしか思えない。言葉を所有するゆえに人間は人間なのだから、その言葉の仕事を機械に任せてしまうと、人間がユルくなるというか安くなるというか、強くいえば、決定的な変質が起こるはずと、私は予想しています。P205(ワープロを使わない池田さんである)
我々の生死は、じつは、言葉においてのみである。言葉以前に生死はなく、言葉以後に私はない。言葉と存在とのこの悩ましい共犯関係は、ぎゃくに、我々を、生死の呪縛から解き放つ。P218

池田さん自筆の原稿を見て、ふと微笑を洩らした方も多いのでしょうね。


死とは何か さて死んだのは誰なのか
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