あの戦争は何だったのか 保坂正康 新潮新書 2005

読んだのは 2009 31刷

本書でも指摘されているが、高校時代に日本史を習わないでも済む現実がある。
そういう自分も世界史をとった。大学教養課程で日本史を取らなかったので、最終日本史学歴は中学卒である。成人してから確かにいろんな本により第二次世界大戦の記述に触れる事が出来たが、それは常に、「ある切り口」を通して見ている。今なお東京裁判に対する評価が分かれていることも、南京事件の真実がいくつもある様に語られる。
本書も当然切り口がある、どうして戦争を始めなければならなかったのか?
日本軍の構造分析により、黒幕をあぶり出そうとしている。
ただ黒幕とされる大本営がエリート中のエリートからなる集団ということは理解できたが、それではそのエリート達が何を考え何を目指したのかが見えてこない、そこがまたブラックボックスなのである。まさに一番知りたいところである。天皇とのやり取り等は立花隆氏の「天皇と東大」以上の事は書かれていないように思う。
ぜひとも大本営の中のトップエリート達の思考様式と行動様式を明らかにして、いかに日本が無謀な戦いを始め、多くの民間人の命を無駄にしたのかを示してほしい。
本当の終戦記念日(敗戦記念日)は8月15日ではなく9月2日(降伏文書に調印)だというのは確かにそうですね。


あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)
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