2000年 宮脇昭・板橋興宗 「鎮守の森」を一部訂正、加筆

宮脇昭(1928(昭3)−)さんは3千万本の木を植えた男として良く
メディアに紹介されているように思う。それは潜在自然植生の主木
の幼苗を混植、密植する作業である。
森の荒廃が叫ばれ、それは実は林業政策の失敗(拡大造林や
樹種の選択ミス等)がほとんではないだろうか。もちろん
都市化に伴う人口の上流域からの流失によるいわゆる里山の
放棄もあるのはたしかであるけれども。
さて本書は、ヒトと頻繁に接する自然帯としての森、その一つが
鎮守の森であり、その森の再生が日本の自然環境回復であると
読み取れた。
ここで言う鎮守の森を宮脇さんは、単なる神社の森ではなく、
ひろく地霊をまつった森という意味だと書く。そしてそれは
ふるさとの木によるふるさとの森、であると。

こんな行政の失敗例が出てくる。
昭和30年代山梨県企業局による富士山スバルラインの環境破壊が
良い例であり莫大な量の高木、亜高木が枯れていった。
(林務部からの調査依頼が昭和47年頃とある)
信州のカラマツ植林地:台風のあとを見ると、根が浅いために
えぐられた様に倒れている。自然界では最高条件と最適条件が
違うのだと指摘する。(下刈り、間伐等で土地本来の競争相手
を排除して木を育てるため)

宮脇さんが重要だと(本質)と指摘するのは潜在自然植生を
読み取るということだ。
これはすべての人間活動を停止した時にその土地の自然環境
の総和が終局的にどのように植生を支えうるかという理論的な
自然植生をいう。そして日本列島の潜在的自然植生のほとんど
は森である。と。

このような宮脇さんの理論や活動に最初に参加したのは民間
企業である。
新日鐵やイオングループであった。後書きの岡田イオン名誉
会長の話だとイオングループだけで宮脇理論で6百万本以上の
植樹をしたようだ。
最近の報道によりれば林野庁もやっと宮脇さんの方法を取り
入れようとしているようである。

ただ、宮脇さんの活動は人里に近い場所でのものであり、
もちろん奥山でも可能なのかもしれないが、奥山の場合は
平野虎丸さんの「日本政府の森林偽装」に記されている
ような皆伐後は何もしないのが潜在自然植生に値するのでは
思った次第。

第2部の曹洞宗大管首の板橋さんとの対談「日本人と千年の森」
も蘊蓄が語られていて面白い。仏教伝来以前の本邦のアニミズ
ムとでも言うべき山岳信仰はすなわち森という文脈があって初
めて成立するのだから。

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