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見ていて思いました。
教会での納棺シーンもありましたが、基本的に
山岳信仰的な日本古来の死生観。
冬が来て春がくる、そしてまた冬。季節の回帰性の中に
人生の一回性がある。
しかし、魂は循環する時間の中で次の「生」へと確実に
繋がれていく。
それは人間だけのものではない。他の動物を食して成り立つ
人間世界を、フグの白子、フライドチキン、殺したばかりの
鶏の水炊きを食べるシーンが見事に写し出していた。
広末涼子が亭主の職業に対して「穢らわしい」と言うシーン、
そこに未だ解消されない日本の職業差別問題の根源を映している。

職業に貴賤なし。
舞台が都会であったならば、季節の回帰性は写しだせなかった
だろう。
そして、焼き場の親父がお棺を焼きながら言う
「行ってらっしゃい」と、それは山へ戻り、そしてまた姿を
変えて里に戻ることを当然として。
人間が動物の死や人間の死を隠そう隠そうとする昨今、
普遍である死を過剰に恐れ忌み嫌う。
死があるからこそ生があるのである。
動物を屠って食し生きている人間。先祖の生と死によって
受け継がれている自分を「死」を普通に知ることで認識
することが自分の存在をまた未来に繋げていく方法なの
だろうと思った。


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