自然からの答え 串田孫一編 筑摩書房 1990

収録作品は1954年から1990年にわたる。
矢内原伊作、CWニコル、柳宗民、伊谷純一郎、中谷宇吉郎、内田清之助/末広恭雄、尾崎一雄、草野心平、吉田秀和、竹西寛子、立松和平、志村ふくみ、倉嶋厚。
すでに故人になられている方も多い。
串田さんが、自然からの答え(まえがき)の中に書く言葉がこの本を世に出す理由のすべての様に思う。「私としての願いを書かせて戴くとすれば、結局は私達一人一人が自然との対話の出来るような心を持つことである。詩や童話の中では、人間が動物や植物に語り掛け、流れる雲に呼びかけるが、その気持ちでいい。そしてこの対話は無言であるがために自由である。ただ動植物も雲の水も、呼び掛けや語り掛けに対して答えてくれないからと言って、その返答を勝手に創ってしまうことは慎まなければならない。ということは、辛抱強く待ち、またこの対話を習慣とするようになれば、問う者には必ず答えてくれる。それは特別の技術を必要とするものではない。そして自然の中にあって、人間が今愚かであるか賢いかは人間が決めることではないが、賢い存在でありたいという願いは抱いていたい。時には愚かになるという賢さをも含めて」
ニコルさんは屋久杉の無残な状況(営林局等による伐採や山小屋の無法行為)を綴り最後に書く「どうか、日本よ、わかってほしい。過去を理解し、未来に希望を抱いてはくれまいか。屋久島とその神の木々をきたるべき新しい時代における宝石に残しておこうではないか!どうか、お願だ!」


自然からの答え (こころの本)
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