初出は1994年の同名であり92年から93年に岩波書店の「よむ」に掲載されたもの。
本書を読んでまず感じたことは自分の教養の無さと、いかにこれまで「考える」ことを
してこなかったことである。
歴史上の哲学者の名前や有名な諺あるいは名言は知ってはいても、その根源に何があるかを知らなかったのである。50歳にもなる馬鹿おやじである。
池田さんの書は恥ずかしながら、逝去に近いものから読み始め、「14歳からの哲学」で専門用語によらない哲学(愛智の学)というものを知ったのである。
本書はまさにその「14歳からの哲学」の基になるような、西洋哲学の歴史を普段の言葉でこれでもかというくらい書き綴っている。
当然、おやじにすべてが理解できるわけではないのであるが、池田さんが言わんとすることの一部は理解出来たと思う。
哲学は遊びである。一生懸命になればなるほど面白い遊びなのである。考える快楽と言った池田さんの言葉がまさに的を得ている。そして「禅」に西洋哲学にも劣らない、あるいはそれに勝る力があることも。そして知ることより考えることであることを。


考える人―口伝(オラクル)西洋哲学史 (中公文庫)
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