初版は1993年筑摩書房
清貧の思想の中野さんが、清貧の理解が不十分な人々がいることに対して多くの先人を例にとり清貧の本質を説明する。

内面への旅ー俗を離れて
自然との共生
古典に学ぶー清貧の系譜
清貧に生きる

個人的には自然との共生の項で高橋延清(どろ亀さん)、今西錦司、山尾三省が登場し、古典に学ぶでは、鴨長明、吉田兼好が登場、清貧に生きるでは鈴木大拙が出てくるのが興味深かった。
まさに欲望を押さえて、あるいは欲望を忘れて生きられるような人間の到達点がきっとあるのだろう。
足るを知り、自然との共生共死という文脈の中で、生かされている自分を
感じながら歩いていきたいものだ。
最後の解説で松下竜一が締めくくる。
中野氏が掲げてみせる「清貧の生き方」がこの国本来の文化的伝統として清冽な流れをなしているのだとすれば、凡俗の私はせめて片足をその流れに浸して、魂を浄められていたいと願うのだ。

ガーナの片田舎で電気がなくても賑やかな夕暮れの共同体で老若男女の語らいが自分の遠い昔の記憶を呼び覚ました様である。2009年2月ガーナにて。

清貧の生きかた (ちくま文庫)
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