南木佳士さんがパニック症候群になったのは平成2年9月27日だと書かれている。この本の中の短編が書かれたのはパニック症候群からうつ病に移行し回復に向かわれている頃の作品なのだろう。登山やタイトルにもある水泳を始め、体が徐々にではあるが死から遠のきだしたのだろう。
南木佳士さんの言葉に込める意味を同年代あるいは少し年下の読者はまさに自分の心象表現として読み込むことが出来るだろう。
信州の小さな都市での南木さんの生き様は読者は単なる小説家の文章としてでなく自らの体験と錯覚してしまうほどの。

冬の水練
冬の水練