図書館本

2004年まで芥川賞最年少受賞記録を更新していた(23歳で受賞)丸山氏(1943年生まれ)の信州安曇野暮らしから見た痛烈なお気楽田舎暮らし夢想者へのアドバイスと言った感じでしょうか。
都会に住む気の弱い、そして桃源郷を求めて止まないサラリーマン定年前あるいは団塊の世代の方はあえて読まない方が良いかもしれませんよ。
だって田舎で強盗に対峙した場合の刺し違える方法までありますから。
また、中年の自分の様にいつかは田舎暮らしと夢見ている人々は心して読んでおくとかなり役に立つでしょう。都会暮らし人の心理と田舎の人の心理を実に的確に綴っています。そして、酒もタバコもやめられないような輩は田舎ではサバイブ出来ないと言い切ります。まったくもってごもっともと首を垂れてしまいました。
安易に田舎暮らしを考えるなら、分譲の別荘を購入して同じ価値観の都会人と暮らすことをアドバイスしています。しかし、その分譲地も管理費を払い続けても親会社が倒産したり当初のサービスが提供されなくなったりと散々な例もあることを現地から指摘しています。

田舎暮らしの心構えだけでなく衰えていく肉体の事も十分考慮して野垂れ死にする覚悟がないと楽しい田舎暮らしは出来ないのであります。
納得の一冊でありました。そして筆者は日本の文壇とも線を劃しているという、それもまた良い。

田舎暮らしに殺されない法