図書館本

貧乏生活、苦学地方国大出、司法試験合格、特捜検事、ヤメ検弁護士、今は塀の中。まさに波乱万丈の人生を送る田中さんが上告棄却される寸前の田原さんとの対談をまとめた一冊。
バブルに翻弄されたのは日本国民全員であろう、そして今思えば当たり前の結末を迎えてしまった。
正義だけで回る世界で無い事を田中さんは示唆している。すなわち、生まれながらにして生きる道を決められてしまった人々(差別の中に居る人々)が必要悪と言わざるを得ないような任侠の世界や圧力団体の中で蠢く世界があると。そしてそんな中で生きる人の中にとてつもない魅力を持った人間がいるということを田原さんとの話の中で描いている。
後書きで田中さんが書いていた。田原総一郎というメディア界の検事に何もかもしゃべったと。
しかし、おそらくはテキストに出来ない事の方が多いのであろう、国策捜査と言う言葉が佐藤優、鈴木宗男事件でスポットライトを当てられたが、実はメディアにすら載らない国策捜査が普通に行なわれ、また事件としてオープンにすべき事件が闇に葬られているであろうことが容易に想像できてしまう本書である。
田中さんが娑婆に出られてからの生き様に注目したいと思う。

検察を支配する「悪魔」