図書館本

第一章 文化資本主義の時代
第二章 勝った負けたと騒ぐじゃないよ
第三章 街場の常識 (第1回〜第15回 Q&A)

特に一章の文化資本の話が面白い。文化資本というのは、幼少時から知らず知らずに間に保護者から与えられている教養、すなわち芸術だったり文学であったりするのだろう。なので、幼少時代から豊かな文化資本を享受してきた「少数のこどもたち」は成長したあとも、「メンバーズオンリーの閉鎖集団」を作るだろうということである。つまり私たちは今「新しい階層社会」の出現を前にしているのである。それは現在流布している「勝ち組」と「負け組み」という身も蓋もない区分ではなく、「バカ組」と「利口組」というさらに身も蓋もない区分(「バカの壁」)によって隔てられた階層社会なのである。p15 そして文化資本者(本人はそう感じない)なる者を目指すのは成り上がり文化資本者であり、一億プチ文化資本者構想が未来を開くのであると。
第二章は勝ち犬、負け犬の話。
第三章は質問に答える形式で、結婚不快達成論、知性とは、等々
そして「あとがき」、あるいは「生きる事の愉しさ」についてでは、今の若い人たちにかけているのは「生きる意欲」ではなく、実は「死への覚悟」なのである。「生きることの意味」が身にしみないのは、「死ぬ事の意味」について考える習慣を失ってしまったからである。と締めくくる。

街場の現代思想