佐藤優さんが書の中(インテリジェンス人間論)で金峯山修験本宗総本山金峯山寺の蔵王堂を訪れ五條良知東南院住職から聞いた話として書いている。(鈴木宗男氏、村上正邦氏と同行)

修験道は、神道、仏教のみならず道教や日本の土着信仰が合わさったもので、多元性を基本とする。吉野は古来より政争に敗れ、逃れてきた人々を匿い、再出発させる場だ。われわれ山伏は偏見にとらわれず、人々を人物本位、言説をその内的ロジックのみで捉える。他者を排斥いようとするような思想や政治とは、武器をとってでも戦い、多元性と寛容の世界を維持する。なぜなら、それがなくなると日本は日本でなくなるからだ。
日本は近代化の過程で大きな失敗を二回した。一回目は明治維新の神仏分離で、日本とは異質の一元支配の傾向が強まった。二回目は太平洋戦争の敗戦で、天皇を神の座から引き下ろし日本人がもつ神道の感覚が薄れてしまった。
吉野は山奥であるが、地政学的には京都、大阪、伊勢に出ることが容易だった。われわれ山伏は、全国各地に散って情報を集め、それを吉野に集約した。吉野はインテリジェンスの総本山でもあった。

内山節さんも最近特に修験道に注目されているようで、特に民衆の自然に対する信仰と対立するものとして国家としての儒学を考えているようです。すなわち合理を基本とする儒学的国家支配(支配者として都合の良い思想)と自然信仰に基づく「ゆるい」民族的共同体による国という形を。