図書館本

最近、堤さんは日本エッセイスト賞を取られましたね。
さて、本書は日本人が知らないであろうアメリカ経済あるいは新自由主義の裏側をこれでもかと言うほどにご自身の足を使い情報を集め描いている。

「教育」「いのち」「暮らし」という、国民に責任を負うべき政府の主要業務が「民営化」され、市場の論理で回されるようになった時、はたしてそれは「国家」と呼べるのか?と堤さんは書く。

貧困と肥満、民営化(保険、病院など)と経済難民、戦争という就職等々をまさに今からの日本が直面するであろう将来を今現在のアメリカと言うタイムマシーンで見せてくれます。

下流は太るを実証する低価格高カロリー食の学校給食、フードスタンプ制度。乳児死亡率6.3/1000の現実(病院が高くて行けない)、民間医療保険に加入していなければ手術も受けられない様な社会(盲腸手術 入院1日で243万のニューヨーク)、戦争参加による市民権の獲得、民間企業の戦争派遣事業による学生リクルート。

国民が人でなくなり「部品」となり交換可能な消耗品となった世界がアメリカであろう。生きるという言葉は「金」で代替可能なのである国。
金や技術でない所に生きる答えを見つけ出さないと日本も同じ道を辿るのであろう。
もちろん、金の使い方次第、技術の利用方法次第で流れは大きく変化するのだけれど。

ルポ貧困大国アメリカ (岩波新書 新赤版 1112)