図書館本 大分予約で待ちました。

川上ワールドである。
「雨鱒の川」での純愛、「翼をいつまでも」の初恋、「四月になれば彼女は」での青春、そして「ビトウィン」での家族愛と共同体。
今回は隠岐で行われる20年毎の相撲が題材なのだが、読み始めて感じたのは、宮本常一の「忘れられた日本人」でした。自らが島で生まれ育ち、やがて民俗学者として離島振興に力を注ぎました。そして離島に根付く民俗に対する熱い想いとそこに生きる人々の思想、作法への尊敬。
そんな事を考えながらムラの作法の中で人間が生きるという事をキラキラと描き出している。
あえて、相撲の取り組み場面を寄り詳細に多くのページを割いているところに川上健一氏のムラへの想い入れが感じられる。そしてそれは「ビトウィン」を書くにあたっての山梨のムラがヒントになっているのだろうか。
通勤電車では読まない方がよろしいかと思います。

渾身