図書館本 予約4ヶ月待ちました。やっと来た。

学ばない子供、働かない若者を考察しています。
確かに説得力のある現状分析だと思う。
ただ、ニートやフリーターと呼ばれる人たちを生み出した社会を作って来たんは間違いなく現在の中年以降の世代である。
もちろんその社会分析ほど難しい事象はないとは思うが、一刀両断できるだけの分析ななされていないように思う。簡単な解決方はバブル再来しかないのかと思ってしまう自分がいる。あるいは不便覚悟で昭和30年代位の生活、経済状態に戻る事で、労働の意味、共同体の意味が再度認識されるのかもしれません。

若者間で蔓延?する「自分探し」に関する指摘はまさに養老先生同様であり、自分の評価が分からない、あるいはリセットしたいという「オレ的な」思考回路しかない集団が多くなっている。
その他、幾つかのキーワードが興味深い。
リスクヘッジ(危機回避とでも訳す?)の方法を教えない親や学校。
教育の「権利」を「義務」と読み替える倒錯が起きた理由は、経済合理性の原則が社会のすみずみに入り込んだせいです。
アメリカから学んだことがらの全般が、そろそろ賞味期限ぎりぎり。
本当の「多文化共生」というのは、一人の人の中に、複数の価値観や複数の言語や複数の美意識が混在していて、それがゆるやかに統合されている状態を達成することを通じてして実現しない。

結局、労働とは何か?教育とは何か?を大人も子供も経済という文脈の外で考えないといけないのかと感じた一冊である。

下流志向──学ばない子どもたち、働かない若者たち