図書館本

新潮45に主に掲載されたもの。
ぶれない人であり、物事の本質も見つめつつ、自分の出来る事をする人だと思う。NGOの代表者(シスターやブラザーを援助する団体)として日本財団の理事長として、世界中への渡航、貧困への援助サポートを通じて実際に現地で見て、触って、感じて、そして考えた文章が綴られる。
メディアからだけの貧困を日本人はどのように捉えているのか、自分の使わなくなった衣類が本当に貧困な民に役に立つのか?
現地の担当者まで確実にお金を運ぶにはどうしたらよいのか?曽野さん自らが飛行機を乗り継ぎ、ジープに揺られ、そしてシスターに届けるのである。その旅費は自費である。
綺麗な水一杯が飲めなくで死んで行く子供、病気や差別で尊厳もなく死んでいく人々が世界中にいる。
かたや、食物を輸入してまで食べ残す国民がいる。年金も大事であろう。されど、もっと人間として大切な事があるのではないかと考える事はさらに大事ではなかろうか。

曽野さんは書く。
ものごとはすべてオールオアーナッシングではない。完璧な政策も人もない。その不完全性をまともに承認できないあらゆる人たちの眼が、供に貧困なのである。

貧困の光景