図書館で借りていて少しづつ読んでみた。
十分に読み込めている訳ではないのだが、少しは理解できたと思う。

まず、サンカとは「他称」であり、自称ではない。多分に差別的な他称であり山窩と書く場合は犯罪を暗に示しているようだ。これは三角の所謂山窩小説で山窩=犯罪の匂いと言う感じだろうか。
源流としては、箕作りや川魚漁(すっぽんなども採る)を主として定住しない生活者。木地師等と異なり由緒書などが無く、歴史的な考証が難しい。日本の農耕文化以前の末裔だとする考えもあるが、実証は無理であろう。もちろんDNA鑑定等で大陸との係わりを調べる事は可能であろうが、野暮であると思う。
定住しないことが差別を生んだのかは定かでないが、人が人を区別することの無意味さを感じる。
以下読んだ感想を簡単に。

サンカ社会の研究 三角寛 母念寺出版 昭和40年
まさに山窩生みの親とでも言う三角氏の博士論文となった内容。多くの間違いや捏造があると指摘されている。しかしサンカを見る目は温かい。それはこれまで書いてきた山窩小説への罪滅ぼしなのか?
現代書館 (2001/04)より復刻版が出ており、巻末に解題として沖浦和光氏の文章があるとの事。是非読んでみたい。

サンカの真実 三角寛の虚構 筒井功 文春新書 2006
 かなり挑発的な三角完全否定論。写真撮影日時の偽造や資料の捏造等を指摘している。研究ではなくジャーナリスト的な考察に終始。

サンカと三角寛 礫川全次  平凡新書 2005
 非常に中立的な立場から考察している。また多くの文献等を引用して、三角氏の研究との整合性を論じている。非常にわかりやすい。

サンカ研究 田中勝也  新泉社  1987
 甲府市出身の田中氏が古典を紐解きながら、また三角寛の記述の整合性なども合わせて考察している。

漂泊民 山窩の謎 佐治芳彦 新国民社 昭和57年
 かなり飛躍のある考察ではないかと。

サンカ・廻游する職能民たち 飯尾恭之  2005
 尾張サンカであったと思われる方からの聞き取りと考古学的手法で瀬ぶり等があった場所を発掘して考察している。研究的。

幻の漂泊民・サンカ 沖浦和光 文藝春秋 2001
 非常に詳しく文献的考察をされていて、後半部分では関西での聞き取りを行い、研究会などを通じて民俗学的な資料収集も行なっている。
サンカ1サンカ2