図書館本

副題:元上海総領事が見た中国

キャリア外交官が死を直前にして書き綴った中国への想い、そして今後の日中問題解決への糸口。
農民と都市部での戸籍の違い、農村部と都市部での大きな経済・教育・医療格差。社会主義と資本主義の間で揺れ動く政治。中国抜きでは語れない今後のアジア、世界情勢。
内的問題(経済格差等)を外的問題(反日)にすり替えざるを得ない中国の現状をチャイナスクールキャリアーとして長期にわたり中国と関わりを持ち、歴史的文化的考察から綴っている。靖国問題も中国側とすれば、戦後賠償放棄の背景から決してウヤムヤには出来ない理由もわかる。また日本の対中国ODAも決して無駄ではないと説く。特に大使館決済で行なう事が出来る「草の根無償」資金によるきめ細かい援助(学校建設等)は確かに最終的には日本の国益に繋がっていると感じる。
中国の評価を決して少ないフィルターを通して見てはいけないと感じた書であった。杉本氏はこの本の出版後、治療の甲斐なくガンでお亡くなりになられた。昭和24年生まれ。
大地の咆哮 元上海総領事が見た中国