図書館本

宮崎氏が主催する研究会での佐藤さんの数回にわたる講演の記録。

ソ連崩壊を自らの目でみた佐藤さんの考察は興味深いし、種々な民族、宗教が入り混じる国家の歴史が生き生きとと描かれている。
しかし、最終的に、○○人であるアイデンティティー、○○宗教を背景に持つといった括りでしか歴史が流れないのか?という疑問が浮かぶ。そんな枠を超えた世界平和を目指す外交はありえないのか?

スポーツ組というマフィアの存在があるそうだ、エリチィンもプーチンも繋がっているような記述があります。怖いですね。暗殺が日常起こることも最近のジャーナリスト暗殺や元KGBのロンドンでの殺害もこのスポーツ組なんでしょうか?

でも一般人は非常にフランクであり、働き者であり家族愛に満ちていると佐藤氏は述べています。おそらく、これは世界中同じなのでしょう。常民の姿は世界共通。

「ソ連が嘘で塗り固められたロクでもない国家であったということは間違いない。しかし、国家の崩壊によって、ロシア人、ウクライナ人、リトアニア人、アゼルバイジャン人など、ソ連領域で生活していた一人ひとりの悲惨な物語を目のあたりにして、私は国家は悪であるが必要だとの確信を抱くようになった。私はこのときから国家主義者になったのである。ただし、私は個人的体験に基づく国家主義を他人に押し付けようと思ったことはない。あのクーデター未遂事件後、私は役人として上司におもねることを止め、国益のために自分が正しいと信じることは、官僚組織から煙たがられても素直に言う事にした」

「完全なエスニッククレンジング(民族浄化)が行われて、一人も相手の民族がいなくなったが故に、それと同時に民族問題が「解決」したんです。」

なるほど。でも虚しい。

国家の崩壊