図書館本

佐藤さんと魚住さんの対談を通して、ファシズム、ナショナリズムを紐解く。小泉政権をファシズム前夜とし、小泉氏に「やさしさ」があればファシズムが完成していたと説く。
佐藤「ファシズムって定義しづらいものなんです。後から振り返ってみて、ああ、あれが、ファシズムだったんだなと。そういうものだと思います。言い換えれば、その渦中にいる当事者には気づきづらいものであります。しかもファシズムを定義しようとすれば必ずその定義からこぼれてしまうものであって、それが重要な要素だったりするのです。
「32年テーゼの亡霊がいまも日本の知識人を束縛しているように私にはみえるのです。確かに丸山真男に代表される知識人は、封建社会の地獄絵は見せてくれました。中略 しかし、その先に待っている世の中までは見せてくれなかった。その果てを垣間見せてくれたのが小泉さんでしたね。五年半の小泉政権が新自由主義を推し進めてくれたおかげで、徹底した個の自立の先の、弱肉強食、優勝劣敗がもたらす地獄絵に気付かせてくれました。逆説的ですが、その意味で小泉さんは「日本が特殊な社会である」というわれわれの思想の輪郭をはっきりさせることができた、とても優れた”対抗思想”の持ち主だったと思います。

立花さんの「天皇と東大」(下)に出てくる天皇機関論を徹底的に叩く蓑田胸喜に対する評価も立花さんとは若干違って興味深い。メディアを使ったナショナリズムと言う文脈で。

佐藤さんは宗教の専門家とばかり思っていましたが、思想や国家論まで説いてしまう論客なんですね。さらにその立ち位置が非常に中立のように思います。ナショナリズムという迷宮―ラスプーチンかく語りき