図書館本 自分の中での今年のベストテンには必ず入るでしょう。
もっと早く知っていればよかったです。

副題:考えるための教科書

この本には答えはない、わからないということがわかり、考える事の大切さを知ることがもっとも大切なことなのだと思う。

備忘録的に書き留めました

もし君とは、君が単純に思っているように君の体としたら、体が死んだら君は死ぬよね。でも、もし君とは君の体じゃないとしたら、体が死んでも君は死なないことになるのだけれども、それとも、そんなこと知りたくないのかな。 p44

楽しんで仕事をしているうちに、気がつかなかった自分の才能に、気がつくこともあるだろう。生きなければならないから仕事をしなければならないなんて思っている限りは、人は決して本当に生きることは出来ないんだ。 p116
上品(じょうぼん)と下品(げぼん)というのは、徹頭徹尾、人の内面、精神性こそを評価する言葉なんだ。 p118

自分の欲得や欲望を満たすために、精神を忘れて為されるすべてのことは卑しい。中でも最も卑しいことは、文字通り「卑怯」ということだ。正しくないから卑劣なことだ。勇気がないから逃げること。人は、卑怯なことだけはするべきではない。卑怯は精神の死だからだ。卑怯によって生き延びるよりは、時には、人は死ぬことの方を選ぶべきかもしれないんだ。 p121

天をみるとはどういうことか、もうわかるよね。ちっぽけな自分を捨てることだ。無私の人であることだ。君が自分を捨てて、無私の人であるほど、君は個性的な人になる。これは美しい逆説だ。真実だよ。人は、個に徹するほど天に通じることになる。この宇宙は、なぜかそういうつくりになっているからだ。本物か偽物かという問を理解するのも、はやり本物の人だけだ。偽物ばかりが横行する今の世の中を生きてゆくのは、本当に大変だ。でも、偽物の人生を生きて死ぬよりは全然大変なことじゃない。だから、本物の人間になろう。君は、君だけは、本物を見抜ける本物の人間になろう。 p129

人生にとっても最も大事なことについての知識は、新聞にもネットにも書いていない。書いてあることもあるけれども、それを受け取って持っているだけで、自ら考えているのでなければ、あくまでもただの情報だ。情報は知識ではない。ただの情報を自分の血肉の知識とするためには、人は自分で考えなければならないんだ。 p133

しっかり考えて、賢い人間になりたいのなら、やっぱり本を読むのがいい。むろん、どんな本でもいいというわけじゃない。本物の人が書いた本物の本だ。メディアの策略で流行になっているような本は、まず偽物だ。だまされないように、見る目を鍛えて。絶対に間違いのないのは、だからこそ、古典なんだ。古典は、考える人類が、長い時間をかけて見抜いた本物、本物の言葉なんだ。消えていった幾千の偽物、人の心に正しく届かなかった偽の言葉の群の中で、なぜその言葉だけは残ったのか、はっきりとわかる時、君は、いにしえの賢人たちに等しい知識を所有するんだ。これは、ネットでおしゃべりするなんかより、はるかに素晴らしいことじゃないか。  p136

人類は進歩してきたのだろうか。そもそも「進歩」とはどういうことなのだろう。中略。道具は確かに進歩したけれども、道具を使う君の精神は、じつはちっとも進歩していないのじゃないだろうか。いや、それどころか、便利な道具のおかげで、言葉という精神の価値がいよいよわからなくなっているのだとしたら、これは進歩どころか堕落じゃないだろうか。中略。その楽しみを追うこと自体が生活の目的となって、何のための生活なのかを考えることをしないのならば、置き去りにされた精神は、貧しくなるばかりのはずだ。それなら、何のための豊かさだろう。精神が貧しくなる生活の豊かさが、どうして人類の進歩であるはずあるだろう。中略。自然を自分の「外」にある物質と見ることで、それを観察、実験して、客観的な法則性をそこに見出すことが可能となった。中略。すべてを自分の「外に」ある物質と見る事で、人は、自分の「内に」ある精神のことを忘れる。あるいは、「内の」精神も、「外の」物質と同じものだと見るようになる。つまり、精神とは物質である、精神とは脳であるという、現代人の九分九厘がそう思い込んでいる錯覚のもとも、ここにある。   p147

精神を貧しくする快楽や欲得のために生きたいのだったら、そのような人生に何の意味があるだろう。なぜなら、精神が豊かであるということだけが、人生が豊かであるという意味だからだ。  p148

人は、自分で自由に運命を創造しながら、その人生を生きてゆく。その人生はこの宇宙に存在しているという当たり前の事実を、決して忘れずに考えてゆくことだ。考えるほどに、君は、いったいどうしてこういうことになっているのかという驚きを新たにするはずだ。そして、奇跡という言葉すら色を失うのを感じるのなら、君は、果ての果てまで、このことの謎を知りたいと思わないか。     p191


14歳からの哲学―考えるための教科書