中年以降の釣り人なら誰もが知っているであろう、佐藤垢石を
描いた作品。
出合いからしてドラマチックで、その後編集者として、そして
つり人社の社員として垢石に接した筆者の偽りなき垢石像を描いて
いるのであろう。
その理由は、山梨の増富温泉での垢石と女中さんの情事の
描写でも分かる。
まさに波乱万丈と言う言葉が垢石にためにあるのではないかと
思ってします。酒、酒、酒、釣り、釣り、女性、文筆業くらい
の割合の生き方である。
垢石は報知新聞社時代に甲府支社長もしたようで、山梨の
釣り場にも詳しい。良く知られているように文豪井伏鱒二氏の
釣りの師匠でもある。
報知新聞社を借金で逃げ出し、自殺まで試みようとした垢石が
釣随筆で一世を風靡するまでになる人生は釣り人の憧れでも
あるかもしれない。
山本素石が垢石の名前から石をペンネームに拝借したのも
うなずける。
二度とこのような釣り人は現れないのであろうか。
もっとも有名な随筆としては「たぬき汁」があげられる。
佐藤垢石 1888-1956
kouseki